エポの狩り

外出中，留守番していた娘から携帯に電話がかかってきました。

　「あのさ，エポが部屋の中で妙にバタバタはしゃいでたからさ，
　なんだろうと思って呼んだら，こっち振り返ったんだけどさ，
　エポの前に，おっきな“Ｇ”が・・・落ちてた。」

コードネーム“Ｇ”とは，我が家の共通の呼び名です。
夏になると現れる，茶色くテカる，追い詰めると飛んで反撃しやがるアイツです。
運悪くエポに見つかり，無理やり遊び相手にされたのでした。

この有様を見た娘は相当ショックを受けたらしく，
ごきげんなエポの前で羽を広げてぐったりしていた“Ｇ”を処分はしたものの，
肝心のエポをどうしたものか，途方にくれて電話してきたのでした。

　「いまお風呂に閉じ込めてるんだけど，どうしたらいい？」

電話ごしの話だけでじゅうぶんショックだった母は，
顔と手をふいてやってくれ，としかアドバイスできませんでした。

あれから，何かを見つけてモグモグしているエポの口をこじ開けるのが
ためらわれて仕方ありません。

ゆかのうえにあるものは，ぜんぶわたしのものだからね。

夏は私の苦手な虫達が元気付くのでユーウツです。
この時期は，少し庭に出るだけで蚊にたかられます。
さされたところに「キンカン」をつけていると，エポが興味津々で寄ってきました。
ちょっといたずら心が起きて，エポの鼻先に「キンカン」を差し出すと，

　「ブホッ」

というような鼻息とともに５センチほど飛び上がりました。

やっぱ，くさかったよね。ごめんよ。